本会議 一般質問(3)

令和元年12月13日

災害の記録を風化させない取り組みについて

西村日加留:
次に、災害の記録を風化させない取り組みについてお伺いします。
昨年9月に大阪を襲った台風は、昨年の台風第21号という言い方で呼ばれていますが、先人の方は、大災害に襲われた後、必ず記録や記憶、また後世に語り継ぐために名前をつけております。顕著な災害が起きた自然現象には、気象庁が名称を定めることになっておりますが、昨年の台風第21号は、その基準を満たされてないようですが、地域ごとに自治体等が独自で名称を定めることもできることになっております。

私は、今後、記録的な被害があり、歴史に残るような災害が発生した場合には、その記録を風化させないためにも名称をつけることを検討すべきであると思います。
台風第21号を初め、昨年のたび重なる災害の記録を風化させないための取り組みは重要と考えますが、どのような取り組みを行っているのか、危機管理監の御所見をお伺いします。

橋本正司 危機管理監:
災害の経験や貴重な教訓を次の世代に伝承し、災害対応力を強化していくことが重要です。
昨年の大阪北部地震や台風第21号の教訓を府の災害対応力の強化につなげるため、学識経験者から成る南海トラフ地震対応強化策検討委員会を設置し、初動体制のあり方など多くの項目について提言をいただきました。

また、府ホームページにおきまして、大阪府を襲った主な災害として台風第21号などの災害記録を掲載することを初め、防災講演やイベントなどさまざまな機会を通じて、府民や事業者に対し昨年の災害の記録を伝えるとともに、早目の避難行動や身を守る行動の大切さを啓発しているところです。
引き続き、災害の記憶を風化させず、府民一人一人の防災意識を高めるよう、さまざまな取り組みを進めてまいります。

西村日加留:
名称をつけることは、次の出水期である翌年5月までなら可能と聞いております。昨年の台風第21号もことしの5月までなら名称を残すことも可能でした。記録に残る被害をもたらした台風は、災害の記録、記憶を風化させない取り組みとして、今後名称を残すことも検討していただくことを要望いたします。

土砂災害警戒区域について

西村日加留:
次に、土砂災害警戒区域についてお伺いします。
昨年度(平成30年度)に全国で発生した土砂災害は、集計を開始した昭和57年以降過去最多の3459件となっております。また、令和元年度においては、台風第19号だけで11月時点で962件の土砂災害が発生し、こちらも台風に伴う土砂災害としては、過去最大の発生件数を記録しているとお聞きしております。

土砂災害の被害のおそれある土地に対しては、土砂災害防止法に基づき土砂災害警戒区域の指定を行うとなっており、全国的には、令和元年度に区域指定のための調査を完了するとなっておりますが、大阪府では、平成26年度に発生した広島での甚大な土砂災害を契機に区域指定を促進し、平成28年度に完了、現在約8400カ所の土砂災害警戒区域が指定されているとお聞きしております。

この区域は、住民の生命を守るため、危険の周知、警戒避難体制の整備を行うために指定されたものですが、現地の状況は、開発等により変化するものであり、一度指定された区域であっても見直しを随時行うべきと考えますが、都市整備部長にお伺いします。

森岡武一 都市整備部長:
大阪府では、住民が土砂災害のおそれのある箇所を把握し、いざというときに早期の避難活動がとれるよう、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域の指定を進めてきました。
土砂災害防止法では、急傾斜地の崩壊等のおそれがある土地について、地形等の調査を行って区域の指定を行うこととされており、また同法第4条において、指定完了後も地形等に変化が認められた箇所については、再度調査を実施することとなっています。大阪府では、指定完了の翌年、平成29年度から、地形改変箇所の抽出調査を順次実施しており、今後も経年的な変化などに応じて、指定区域の見直しや新たな区域指定を行っていきます。

指定基準の見直しも今後必要ではないか

西村日加留:
地形改変などにより指定区域を見直すことは承知しました。一方で、昨今の気候変動による土砂災害の激甚化、頻発化を私としても非常に懸念しているところです。例えば、急傾斜地の崩壊であれば、傾斜度30度以上、高さ5メートル以上の斜面に対して土砂災害警戒区域が指定されますが、今年度の台風第十九号では、関東地方において、土砂災害警戒区域の指定箇所以外でも土砂災害が発生しました。
私としては、この教訓から、土砂災害警戒区域の指定基準の見直しも今後必要ではないかと考えますが、都市整備部長の御見解をお伺いします。

森岡武一 都市整備部長:
土砂災害警戒区域の指定基準は、過去の災害データの蓄積と分析により、国において平成13年度に政令で定められています。
御指摘のように、今年度の台風第19号に伴う豪雨により、警戒区域以外でも土砂災害が発生したことから、現在、災害の規模や被災状況を国が検証しており、検証結果に基づく国の方針が示されれば、大阪府においても適切に対応してまいります。

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