教育常任委員会 質疑(5)

令和2年12月10日

世界遺産となっている天皇陵の情報発信について

西村日加留:
先日の私の一般質問でもしゃべりました百舌鳥・古市古墳群について、パネルをお示しして、地元で配られた冊子「サカエルの古墳散歩」という資料を用いて質問しましたが、その際に、天皇陵の写真が古墳として取り上げられ、その古墳の説明として、当時の有力者たちが自分の力の強さをアピールするためにつくったものと断定的に記載されていました。子ども向けにつくられたものだとはいえ、これは私の認識からすれば非常に偏った表現だと思っております。また、専門家の中ではこのような考え方の方が多いんだと私は認識しております。少なくとも一つの説だと説明するべきだと思いますので、今後も問題提起をしていきたいと思っております。

また、質問の中では、名称についても、「仁徳天皇陵」が、世界遺産になってからは「仁徳天皇陵古墳」であったり、「大仙陵古墳」であったり、様々な名前で呼ばれるようになりましたが、私の認識からすれば、やっぱり陵は陵、古墳は古墳、その認識でありますので、引き続き問題提起していきたいと思っております。

特定の説を子どもたちに押し付けているのではないか

この中で、世界遺産の推薦書には、天皇のことを王--「KING」と表記しておりますが、大阪府は世界遺産の登録を地元市と共に進めてきたこともあり、このような情報発信に対して一定の責任があると認識しております。私としては、世界遺産に対する認識が子どもたちへ誤って伝わってしまうことを危惧しています。

そこで、こうした世界遺産となっている天皇陵の情報発信についてどのように考えているのか、文化財保護課長にお伺いいたします。

大野広 文化財保護課長:
お示しの資料でございます「サカエルの古墳散歩」につきましては、大阪府が作成したものではございませんけれども、世界遺産の資産である古墳の名称や築造の意義、歴史などについて様々な御意見があるということは承知しております。
教育庁といたしましては、世界遺産の歴史的な価値について情報発進していく際には、多様な考え方があることに留意してまいりたいと考えております。

教育資料作成で大阪府はバランスが必要

西村日加留:
ぜひとも留意していただきますよう、よろしくお願いいたします。
繰り返しますが、世界遺産の推薦書では、総合的所見として、「百舌鳥・古市古墳群は、古代日本列島を支配し、東アジア諸勢力との外交にあたった王一族やそれに次ぐ有力者たちの墓群である」とも断言しております。

世界遺産になってから、授業としてこのことを言っていまして、堺市の学校で子どもたちにあの資料を配付されているのを見たときに、私は正直びっくりしました。
世界遺産とは何なのか。
私からしたらあまりにもひどいものだったので、やっぱりバランスが必要だと思います。
繰り返しますが、世界遺産になった意義、また世界遺産の推薦書については今後引き続き問題提起をしていきたいと思っておりますが、教育機関としてもチェック機能をよろしくお願いいたします。

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