令和2年12月21日
諸議案に対する会派意見の表明
定例会に提出されている議案に提出されている複数の議案に対する意見を会派を代表して申し述べました。
西村日加留:
自由民主党・無所属 大阪府議会議員団の西村日加留でございます。
採決に先立ち、今定例会に提案されている諸議案等について、我が会派の意見と態度を表明させていただきます。
冒頭、新型コロナウイルス感染でお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、罹患された方々について謹んでお見舞い申し上げます。
また、医療の最前線で御尽力いただいております関係者の皆様をはじめ、感染予防に御理解と御協力を賜っております全ての府民の皆様に感謝申し上げます。
十一月以降、医療機関や学校、高齢者施設などで新型コロナウイルス感染に関わるクラスターの発生が増加しております。先日も、大阪市内の大規模高齢者施設で四十名の感染があったと報道されました。高齢者の方が新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいということは、周知の事実です。高齢者施設におけるクラスターの発生をいかに防止するかが非常に重要であります。高齢者施設に対し、相部屋を個室に改修するための国の補助事業を有効活用し、十分な感染対策を取ることができるよう、改めて周知徹底していただきますようお願い申し上げます。
また、さきの我が会派の代表質問においても指摘いたしましたが、まずは外部から新型コロナウイルスを持ち込ませないためにも、施設に入所する前に一律のPCR検査をすることが、高齢者施設での感染拡大防止に寄与すると考えておりますので、この場で改めて申し上げます。
次に、新型コロナウイルスの感染拡大・収束状況を判断するための独自指標・基準となる大阪モデルについて申し上げます。去る十二月三日の新型コロナウイルス対策本部会議において、レッドステージの点灯基準である重症病床使用率が七〇%を下回っているにもかかわらず、赤色信号が点灯されました。また、十二月十四日の対策本部会議において、七日連続で重症病床の使用率が六〇%未満というレッドステージの新たな解除の基準を設け、その基準を緩めました。このように、大阪モデルは、現在までに既に五度の修正が行われ、今後の要請を強めるのか、弱めるのかなど、対策本部会議だけで恣意的に運用されている状況です。
加えて、感染拡大に対し重症者の数は過去最多、看護師不足が起こり、自衛隊や他府県に看護師の派遣を要請するほど医療崩壊寸前の状況であり、大阪モデルは機能していない状況となっています。また、府民の行動変容を促すという目的も、現在、大阪モデルに対する府民の信用度が低下しており、十分役割を果たせていないのではないかと大変危惧しております。状況に応じて変えていくということも必要なのは一定理解できますが、それにしても修正が繰り返し行われており、府民や事業者の皆様は先が見通せない状況となっています。再度、適切な運用を行っていただくよう要望しておきます。
次に、環境施策について申し上げます。
我が会派は、去る十月八日に大阪府のさらなる環境施策の推進を後押しするため、小泉環境大臣に対し、再生可能エネルギーや災害時にも対応できる蓄電池、EV等の分散型エネルギーの普及拡大のための支援や、国が把握している再生可能エネルギー導入量データの自治体への提供などについて、お力添えいただくよう要望書を提出してきたところです。
その後、菅総理大臣も、総理就任後初の所信表明演説や、オンラインで開催されたG20サミットにおいて、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると目標を定められました。また、政府や東京都などでは、二〇三〇年代にガソリン車の販売規制が検討されるなど、温室効果ガス削減に向けた議論が急ピッチに進んでおります。地球温暖化問題の解決は、もはや人類共通の喫緊の課題です。二〇二五年大阪・関西万博の開催地でもあり、世界と肩を並べるグローバル都市を目指す大阪としては、現在の施策に満足することなく、ドラスチックな規制や補助金の導入、インセンティブの付与など積極的な取組を通して、次世代に環境負債を残さないようお願い申し上げます。
次に、二〇二五年大阪・関西万博について申し述べます。
万博会場への主要な交通手段として、大阪メトロ中央線のコスモスクエア駅から夢洲まで地下鉄の延伸が進められておりますが、さきの我が会派の代表質問でも指摘しましたとおり、コロナ禍でIR誘致が確実性を失いつつある今、半年間の開催期間である万博のためだけに地下鉄の延伸をすることにならないかを非常に危惧しております。地下鉄に依存しない新たな開催計画を検討するべきではないでしょうか。
また、先日の井上万博担当大臣の会見にもありましたとおり、万博会場の建設費は、当初の一千二百五十億円の五割増、最大で一千八百五十億円にも上るとされています。会場建設費は、国、大阪府市、経済界で三分の一ずつ負担することになっておりますので、大阪府の厳しい財政状況や先の見えない新型コロナウイルス対策を鑑みると、果たして府民の理解が得られるのでしょうか。万博協会に人員も派遣し、国と一体となって計画を策定している大阪府としては、今後もコスト削減についてあらゆる検討を行っていくよう強く申し上げます。
最後に、来年二月、府市両議会に提出予定と伺っております広域一元化条例について述べさせていただきます。
レッドステージの出口が見通せない中、大阪府と大阪市の優秀な職員を副首都推進局に縛りつけてまで広域一元化条例を今すぐつくる必要性がどこにあるのでしょうか。吉村知事は、かねてから知事と松井市長の人間関係でバーチャル都構想が成り立ち、府市統合が実現し、大阪市の成長発展に寄与していると強調されています。であるならば、吉村知事と松井市長の任期中は、これからもバーチャル都構想が継続され、広域一元化の状態が続くのであります。
さきの住民投票における特別区設置協定書については、平成二十九年六月から三年間以上の時間をかけて三十七回の法定協議会を開催し、しっかりと制度設計が行われました。大阪市の在り方が大きく変わる本条例でありますが、あまりに制度設計のための期間が短く、性急に二月定例議会に提出するべきではありません。
改めて申し上げますが、赤信号が点灯している今、最優先すべき問題は新型コロナウイルス対策です。さきの総務常任委員会で我が会派の原田幹事長が指摘しましたとおり、健康医療部の未曽有の時間外勤務の状況が発生している中で、広域一元化条例については拙速に進めるべきではないと強く指摘しておきます。
以上、るる申し上げましたが、今定例会に提出されている知事提出議案につきましては賛成であることを表明し、我が会派の討論とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。