令和2年3月10日
世界遺産となったいわゆる百舌鳥・古市古墳群について
西村日加留:
早速ではありますが、質問に移ります。
世界遺産となったいわゆる百舌鳥・古市古墳群についてお伺いします。
昨年九月議会の本委員会の際に、いわゆる百舌鳥・古市古墳群の保護、保存管理について何点か質問をさせていただいたところ、文化庁、宮内庁、地元市等と連携し、保存管理に取り組んでいくとのことでありました。
そこで、来年度の事業のうち、特に保存管理について、また予算内でどのように取り組もうとしているのか、担当副理事にお伺いします。
金森真澄 都市魅力創造局副理事:
世界遺産条約では、文化遺産を損傷、破壊等の脅威から保護し保存することが重要であるとされております。この条約の趣旨に鑑み、世界遺産である百舌鳥・古市古墳群を将来にわたり良好な状態で保存管理することは、我々の大変重要な責務であると認識しております。
そのため、来年度は、保存管理に関する取組といたしまして、全ての世界遺産に求められます資産の経過観察と遺産影響評価に加え、百舌鳥・古市古墳群独自のものとしては国際専門家会合を予定しております。
具体的には、百舌鳥エリアと古市エリア、それぞれで策定しております史跡の保存活用や整備に関する基本計画の改訂に当たりまして、国内外の遺跡整備に関する専門家と意見交換を行うこととしております。
今後とも、百舌鳥・古市古墳群を世界遺産にふさわしい良好な状態で維持していくために、地元市等と連携いたしまして、資産の保存管理に取り組んでまいります。
西村日加留:
先ほどの御答弁では、国内外の専門家と意見交換を行い、保存活用や整備に関する基本計画を改訂するとのことでありましたが、そういうことは、そもそも世界遺産に登録される前に行っておくべきことではないでしょうか。
また、注意喚起をする看板もそうですが、来訪者は既に来ております。今頃になって、保存管理計画の改訂を検討していて、適切な保護、保存管理を行っていけると言えるのでしょうか、担当副理事にお伺いさせていただきます。
金森真澄 都市魅力創造局副理事:
百舌鳥・古市古墳群の保存管理につきましては、古墳群全体について定めました包括的保存管理計画と、百舌鳥エリアと古市エリアそれぞれにおきまして、市が管理する古墳に関して策定しております整備基本計画等に基づき行っております。
百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録が決議されました第四十三回世界遺産委員会におきまして、追加的勧告として、整備方法等について検討を深め、各エリアの整備基本計画を更新していくことが求められました。
そのため、来年度は、今後の史跡整備の在り方に係る指針を取りまとめることとしており、これに向け、国内外の史跡整備に関する専門家や文化庁、宮内庁とともに、国際専門家会合を実施することとしております。
引き続き、大切な資産を確実に後世に引き継いでいくために、文化庁、宮内庁、地元市等と連携しまして、適切に保存管理を行ってまいります。
西村日加留:
陵墓は人様のお墓であります。史跡調査対象ではありません。先ほど来、国際専門家会合や史跡調査という言葉が出ておりましたが、あくまでも陵墓外の周辺のことを指していると理解しております。しっかりと検討を行っていただき、保護保存の管理を確実に進めていただきますようよろしくお願いいたします。
「百舌鳥・古市古墳群」という名称への疑問
さて一方で、私は以前より、いわゆる百舌鳥・古市古墳群の名称について疑問を持っていました。例えば、宮内庁が管理保護する仁徳天皇陵は略称です。正式な御陵名は百舌鳥耳原中陵と発表しておりますが、世界遺産の構成としては仁徳天皇陵古墳、古墳もついて呼ばれている。私は、これを仁徳天皇の陵と認識しており、古墳を付け加える必要はないのではないかと思う。と同時に、日本語としてもおかしいと感じます。
そこで、仁徳天皇陵古墳の名称がどのような考え方で決められたのか、担当副理事にお伺いします。
金森真澄 都市魅力創造局副理事:
百舌鳥・古市古墳群は千六百年にわたって守り伝えられてきたものであり、各資産は長い歴史の中で様々な名称で呼ばれてまいりました。
仁徳天皇陵古墳につきましては、平安時代に編さんされた延喜式を参考とした名称のほか、所在地名から大山古墳と呼ばれることなどもございます。
そのような中、世界遺産への推薦に当たりまして、陵墓の構成資産としての名称につきまして、宮内庁をはじめとする国や地元市と協議をし、天皇の陵として皇室が祭祀を行い、宮内庁が管理している古墳という意味で仁徳天皇陵古墳としたものでございます。
この考え方は、昭和五十年代に古市エリアの陵墓の濠と堤の一部が国により史跡として指定された際の名称を踏襲するものであり、また近年、文化庁主催の展覧会におきまして、宮内庁が遺物を出品した際の古墳名も同様の表記とされております。
今後とも、百舌鳥・古市古墳群の理解促進に向けた取組におきましては、世界遺産登録の際の名称を基に情報発信を行ってまいります。
西村日加留:
御答弁ありがとうございます。
さて、あたかも宮内庁が了承の下というような表現をされていますが、先ほどもお伝えしましたが、宮内庁は陵墓名を百舌鳥耳原中陵、略称で仁徳天皇陵とする、しか使っておりません。
ここで誤解をされているようですが、陵墓、古墳を含んだ周り周辺の名称は、過去にも幾つかあったと聞いております。
しかし、現在において、ピンポイントに仁徳天皇陵の写真を使い、仁徳天皇陵古墳というのは、やはりおかしいと私は思います。
一つ、日本語としてもおかしいです。そして、外国語訳、よく使われる英語にしても、固有名詞としてローマ字で書いているので、陵と古墳が同意ですので、かぶっています。
二つ、教育にも影響があります。陵墓、陵の意味、また古墳の意味が教えられません。
三つに、子どもたちや外国の方からこのような質問をされた際、まともな回答ができていません、と私は考えます。
以上で、次の質問に移ります。