教育常任委員会 質疑(4)

令和3年3月15日

府立高校におけるオンライン環境の活用について

西村日加留:
府立高校におけるオンライン環境の活用についてお伺いします。
今年度、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、府立高校においてもオンライン学習体制の構築やインターネット上の教育プラットフォームの導入等、急速にICT化の取組が進展しました。

ICTは新型コロナウイルスへの対応として有効であることは言うまでもありませんが、社会の在り方が劇的に変化するSociety5・0時代を生き抜く子どもたちに対し、ICTを活用したよりよい学習環境を整えていくことは不可欠であり、コロナ対応としての一過性のものではなく、中長期的な取組として学校に根づかせていくことが必要である。このような観点から、府立高校におけるオンライン環境の活用に係る取組について二点質問します。

まず初めに、府立高校におけるオンライン環境整備に係る経緯について伺う。
令和元年の十二月、国のGIGAスクール構想を受け、小中学校での児童生徒用端末の整備等が順次進められることとなり、府立高校におけるGIGAスクール構想に関連した取組が開始されていると思うが、その内容について改めて高等学校課長に確認したい。お願いします。

大久保宣明 高等学校課長:
国のGIGAスクール構想では、令和三年度、中学校三年生を対象に端末を整備することとされていたため、府教育庁といたしましては、そのような環境で学習した中学生が府立高校に入学する令和四年度に一人一台の端末を整備できるよう、校内LANの増強や教室へのWi-Fi設置等について着手することとしておりました。
その後、令和二年四月に、新型コロナウイルス感染症の対策として、国がGIGAスクール構想を加速させ、中学校における整備目標を令和二年度としたことを踏まえまして、府教育庁におきましては、可能な限り早期の整備を目指し、府立高校についての整備目標を令和三年度に前倒すこととしたところでございます。

西村日加留:
国のGIGAスクール構想を踏まえながらも、府教育庁として府立高校のICT化に主体的に取り組んできたことは分かりました。
府立高校における生徒一人一台端末環境については来年度整備予定だが、今年度においてもコロナ禍による様々な制約がある中で、各学校が知恵を絞りながらオンラインを活用した学習活動に取り組んだと聞いております。
府立高校におけるオンラインを活用した取組の現状と今後の支援策等について、高等学校課長にお伺いします。

大久保宣明 高等学校課長:
例年、多くの府立高校が実施しております大学や研究機関等の有識者を招いた講演会等につきましては、今年度、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりまして、オンラインによる実施に変更するといった対応を迫られることになりました。その一方で、こうした新たな実施形態を試みることで、これまでにない成果が得られた例もございます。

例えばある学校では、有識者による講演動画をあらかじめ作成し、一定の視聴期間を取った後、当日はオンライン会議システムを用いた同時双方向の質問会として行うことといたしました。これまでであれば、講演会後すぐに質問の時間となるため、生徒自身がそのテーマ等についてじっくりと考えるいとまがありませんでしたが、講演の内容をしっかりと理解し考えた上で質問できるようになったため、これまで以上に意義深い講演会になったと聞いております。

また、別の学校では、授業で取り組んだSDGsに係る研究の成果を当初、海外研修先の大学において英語で発表する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で海外研修が中止となったため、オーストラリアやニュージーランドなど海外の大学生に協力いただきまして、オンラインを活用して成果発表や質疑応答を行うことといたしました。結果、様々な価値感を持つ複数の国の参加者と意見交流ができたため、参加した生徒の満足度が非常に高く、充実した取組となったとのことでございます。

今後は、府教育庁が開設しておりますオンライン活用に係るポータルサイトにおきまして、オンラインの利点を最大限生かした実践例等を共有するなど、全ての学校でさらに活用が進むよう支援してまいります。

西村日加留:
府立高校におけるICT化やオンライン環境の活用状況、今後の支援策等について答弁いただき、確認させていただきました。
 私は、この確認させていただいた二点は大切だと思っておりまして、そもそも生徒一人一台端末整備は計画があったということで、結果的にコロナ禍で一気に推進されたのは事実ながら、繰り返しますが、そもそもGIGAスクール構想で端末整備は計画されていたのです。しかしながら、現段階で端末をいかに学校、生徒に格差なく整備するかに着眼が置かれ過ぎているように感じています。

もちろん大切なことではありますが、その次のステップである教育現場でいかに運用するかのオペレーション等が乏しいように感じております。早くウイルス騒ぎが終息し、社会や経済、元の生活に戻りたいと願っている方が多いです。私もそうですが、しかしながら改革が進んだ部分もあります。教育現場もそうです。一喜一憂することなく、この進んだ改革を加速させるべきだと私は思います。

オンライン授業、オンライン教育もまだ認められていない部分が多いと聞いておりますので、答弁いただきました外の世界とつながる国際的な取組は本当にすばらしいものだと思っております。今まで以上に姉妹校、姉妹都市との関係が活性化するかもしれません。オンライン活用の可能性ですね、世界同時多発授業であったり、調整をすれば世界の異なる地域間で同時に授業を行うことも可能だと思います。また、バーチャルクラス--人種、民族、宗教、地域、様々な背景を持つ学生が意見を言い、共有できる可能性もあります。二〇二五年の万博では、バーチャルで万博会場を回る授業やバーチャルの教室をつくっても大変面白いと私は思います。

未来社会の担い手である子どもたちにこれまで以上に質の高い教育を行うためには必要であり、オンライン学習の可能性を最大限に引き出す取組を進めていただきたいです。生徒一人一台端末環境の整備を契機に、日々の教育活動においてもハイスペックなオンラインの活用が日常のものとなるよう、府教育庁におかれましては、各学校を引き続き積極的に御支援いただきますようお願いいたします。

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