環境農林水産常任委員会 質疑(3)

令和3年11月17日

太陽光パネルの処理等について

国の検討状況はどうなっているか

西村日加留:
太陽光パネルの処理等についてお伺いします。
2012年の固定価格買取制度、いわゆるFIT制度を契機に、府域においても太陽光発電施設の普及が進み、事業用太陽光発電については、当時から2020年度までの間に約十倍に増加している。国の新たなエネルギー基本計画においても、2030年度に再生可能エネルギーの電源比率の倍増が掲げられており、大阪でも引き続き普及促進に努めていかなくてはならない状況であります。

しかしながら、太陽光パネルの耐用年数は20年から30年と言われており、今後、多くのパネルが寿命を迎えていきます。そこで、私は、これが不法投棄されるなど、大量な廃棄に伴う新たな問題につながるのではないかと懸念している部分があります。実際に海外では、このような不法投棄問題、稼動していないパネルがほったらかし等の問題が発生しております。

さて、国では、2018年時点で年間約4400トンの使用済みパネルが発生しており、そのうち約3400トンがリユース、約千トンがリサイクルまたは処分されていると推計している。また、今後、固定価格買取期間の満了後の2030年台後半には、年間約50万から80万トンもの大量の使用済みパネルが発生すると想定されている。国では、FIT法に基づき、発電事業者に廃棄費用などの積立てを義務づけているが、現行制度の問題点とその解決策について、国の検討状況はどうなっているのか、お伺いいたします。

水田克史 エネルギー政策課長:
国の検討状況のお尋ねについてお答えさせていただきます。
現行の廃棄費用などの積立制度は、具体的な金額や積立方法の規定がなく、発電事業者自らが積立てを行うこととされておりますが、実際には全事業者の二割弱しか積立てが行われておらず、廃棄等の費用の確保に課題があるとされております。

現在、国においては、2022年4月の改正FIT法の施行に向けて、確実な積立てが行われるよう、FITの買取価格から廃棄等の費用をあらかじめ差し引き、国が定める外部機関に十年間積立て、管理し、廃棄時に払い戻しする仕組みが検討されております。

処理費用について

西村日加留:
適切に廃棄するためには、必要な費用が確保されていることが不可欠であり、国で検討されている新たな積立制度は、そういう意味では有効であると思われます。こうした制度改正の内容については、発電事業者はあまり意識していないと考えられるため、設置の段階から廃棄のことをしっかりと考えてもらうよう周知啓発していただくことが重要ではないかと考えます。府民の立場からすれば、設置された太陽光発電設備がその役目を果たした後、きちんと撤去され、処分されるのか不安があると思われますことから、この制度を府民にもお知らせして、設置への理解を図っていくことが大切だと考えます。

大阪府では、国、市町村と共に、太陽光発電の設置に係る情報共有と連携協力を推進する体制、いわゆる大阪モデルを構築し、太陽光発電施設の不適切な設置の未然防止を図っているが、この大阪モデルの中でも取り上げていただき、設置や廃棄に関するトラブルが起きないよう取り組んでほしい。そこで、今後、大阪府としてどのような取組を行っていくのか、お伺いいたします。

水田克史 エネルギー政策課長:
大阪モデルの中でトラブルが起きないよう、府としてどう取り組んでいくかというお尋ねについてお答えさせていただきます。
国におきましては、新たな制度における積立金の管理状況等を公表することについて検討されております。制度の透明性や信頼性確保のために重要であることから、できる限り具体的な情報が公表されるよう国に要望しているところでございます。

また、来年度から本制度が開始される予定であることから、大阪モデルの枠組みの中で、事業者に対しましては、同制度の詳細を含めたパネルの適正な廃棄等についての啓発を強化するほか、国、市町村、庁内関係部局と連携を図り、ホームページやリーフレット等を活用した積極的な発信に努めてまいります。

将来、大量廃棄される太陽光パネルの適正処分について

西村日加留:
太陽光パネル廃棄費用の積立制度に係る国の検討状況及び府の今後の取組について分かりました。
先ほども話したとおり、固定価格買取期間の満了後、2030年代後半には、国内で年間約50万から80万トンもの大量の使用済みパネルが発生することと想定されており、使用済み太陽光パネルの廃棄、処分は、今後、その問題が顕在化していくことになる。

これまで廃棄、処分の経験がない太陽光発電設備の所有者や関係事業者など、今後こうした課題に直面することが予想され、将来、大量に廃棄された場合に混乱が生じないよう備えておくことが重要と考えます。また、リサイクルの促進や埋立処分場の負担軽減のためにも、関係者が一体となった処理体制が必要となると考えます。そこで、太陽光パネルの適正処分に向けた府の取組についてお伺いいたします。

中島秀一 産業廃棄物指導課長:
太陽光パネルの廃棄が集中する時期に備え、リサイクル等を進め、埋立処分される量をできる限り削減する体制を整えていくことは重要な課題であると認識しています。
太陽光パネルを構成する部材は、使用後、主にガラスくず、金属くず及び廃プラスチック類に該当し、処理方法としましては、金属等を分別し、資源として有効利用できるものはできる限りリサイクルを行った上で、リサイクルできないものは最終処分場において適正に埋立処分することが必要となります。

国が平成30年に策定しました太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドラインにおきまして、リサイクルや埋立処分をする場合の技術的情報及び関係事業者の役割や適切な対応が示されておりますことから、関係事業者に対して本ガイドラインを周知してまいります。
また、本年3月に策定いたしました大阪府循環型社会推進計画におきまして、府が講じる施策として、太陽光パネルのリサイクルの推進、適正処理を掲げ、太陽光パネルの廃棄が短期間に集中する問題に備え、廃棄される太陽光パネルの処理の受皿となるリサイクル事業者の処理能力を有効活用する方策を検討していくこととしています。

これらの取組により、発電事業者、排出事業者、産業廃棄物処理業者などの主体が連携し、円滑に処理が進むよう、早め早めの対応に努めてまいります。

処理方法が未定である状況なども府民に告知すべき

西村日加留:
私がなぜこれを聞きたかったかといいますと、要は、国を挙げて太陽光パネルの普及に努めているんですが、その処理の方法が今検討中というような状況なんですよね。
正直言って、太陽光パネルがこの日本に適しているのか私は分かりませんが、このパネル事業自体、産業が我が国にはないので、よそから買うしかない状況ですので、そういうこともちゃんと理解した上で、府民に伝えるべきことは丁寧に伝えてほしいという思いでこの質問をさせていただきました。

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