令和2年12月2日
先人が遺してくれた、身近で分かりやすい地理的な防災情報
登録の進んでいない自然災害伝承碑
西村日加留:
平成三十年の台風第二十一号では、強風により電柱が倒壊し、広範囲に停電が発生したほか、強風にあおられた船舶が関空連絡橋に衝突し不通になったことで、関空が一時孤立するなど、大阪府内に大きな被害をもたらした自然災害であったが、今となっては多くの方々がどのような災害であったかを忘れてしまってるように感じます。
一方、過去の災害の記憶を風化させないためにも、先人は自然災害の様子や教訓を伝承碑に残してくれております。
国土交通省国土地理院では、平成三十一年三月からこの自然災害伝承碑を地理院地図に所在地や伝承碑内容等を掲載する取組を始め、現在、全国で六百二十二基が登録されております。
大阪府内にも、大阪市が三基、高槻市で二基、枚方市一基、そして私の地元である堺市の一基の計四市七基が登録されていると承知しております。
大阪府も、これまで多くの災害を経験しており、多数の自然災害伝承碑が存在していますが、登録が進んでないように感じます。
そこで、大阪府においても、より多くの自然災害伝承碑の登録が進むようどのように取り組んでいくか、危機管理監にお伺いします。
◎危機管理監(橋本正司君) 府内では、洪水に関するもの三基、津波に関するもの四基の自然災害伝承碑が登録をされております。
具体的には、淀川の堤防が枚方地点で決壊し、東部大阪地域がいにしえの河内湖、河内潟のようになった明治大洪水を、先人たちが後世の我々に忘れないように建立をいたしました明治十八年洪水碑、また東南海・南海地震が江戸時代に発生し、そのとき、津波から難を逃れるため川船に逃げ、多くの命が失われましたことから、その事実を忘れないように建立されました大地震両川口津浪記などがございます。
明治十八年洪水碑からは、東部大阪地域が低平地であり、浸水しやすい地域であること、大地震両川口津浪記からは、津波のときの避難行動の在り方を学ぶことができ、いずれも先人が後世の我々に残してくれた貴重な教訓であると受け止めております。
府といたしましては、今後、府内の市町村向け会議におきまして、自然災害伝承碑が持つ意味を伝え、登録が進みますよう働きかけますとともに、登録された自然災害伝承碑につきまして、ホームページなどを活用して広く周知してまいります。
自然災害伝承碑を防災教育に活用を
西村日加留:
登録の取組を通じて世間の関心が広がっていくことで、新たな自然災害碑の掘り起こしにつながるとも思います。そういった観点からも、しっかり取り組んでいただきますよう、お願いいたします。
近年頻発する自然災害や、切迫する巨大地震や津波の発生に備え、自らの命と生活を守るため、住民一人一人が平常時から地域の災害リスクを理解し、災害への備えを高め、自らの知恵と情報に基づいて主体的に判断し行動するには、幼少期からの防災教育が重要と考えます。
私は、自然災害伝承碑の情報は、住民に身近で分かりやすい地理的な防災情報であることから、防災教育の素材として活用できるのではないかと考えます。
大阪府において、自然災害伝承碑を活用した防災教育について、危機管理監にお伺いします。
◎危機管理監(橋本正司君) 大阪府では、過去の自然災害につきまして、府のホームページでアーカイブとして情報発信をいたしますとともに、津波・高潮ステーションでは、室戸台風やジェーン台風などの過去の大阪での高潮災害に関する資料等を展示いたしますほか、大地震両川口津浪記のレプリカも展示するなど、府民の防災意識の醸成に取り組んでおります。
自然災害伝承碑につきましては、その土地におけます災害の発生事象のみならず、その土地の持つ潜在的な自然災害リスク、さらには先人がどのように自然災害と対峙し、防災行動を取ってきたかを学ぶツールでありますことから、教育庁とも連携し、防災教育に活用できるよう検討してまいります。
西村日加留:
以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。誠意ある御答弁や御対応をいただきました吉村知事をはじめとする理事者の皆様、ありがとうございます。御清聴ありがとうございました。