府民文化常任委員会 質疑(2)

令和元年10月10日

高齢者の消費者被害を防止する取り組みについて

高齢者の消費者被害には特徴がある

西村日加留:
府消費生活センターがことし7月に公表した平成30年度の消費生活相談の概要によれば、府内の消費生活相談窓口において受け付けた相談件数は73,817件で、このうち60歳以上では、前年度と比べ2,765件、11.8%増加して26,202件、70歳以上では、前年度と比べ2,746件、19.3%増加して16,938件となっている。
年代別の割合で見ると、60歳以上では35.5%、3件に1件以上、70歳以上では22.9%、4件に1件と非常に多い割合を占め、かつ前年度よりも増加している。
今後、超高齢化社会が進展する中で、高齢者の消費者被害を防止する取り組みを喫緊の課題であると考える。
そこで、まず高齢者の消費者被害の特徴について、消費生活センター長にお伺いします。

坂田泰子 消費生活センター所長:
高齢者の消費者被害の特徴といたしましては、まず一つ目は、被害を受けたときの対応につきまして、自分が被害に遭ったことに気がついておられない、相談するのが恥ずかしい、家族に迷惑をかけたくない、そういった理由で周囲に相談しない傾向がございます。
二つ目は、被害の内容について、周囲の人が被害に気づかないうちに、業者から健康食品などの商品やインターネット接続回線などのサービスを次々と購入させられ、被害金額が大変高額化する傾向などがございます。

こうした高齢者の消費者被害の特徴を踏まえ、その被害を防止するためには、高齢者本人が消費生活センターに御相談していただくのを待つのではなく、高齢者に身近な周囲の人たちが見守り、早期に気づいて消費生活センターに相談をつないでいただくことが大変重要と考えております。

府が行う、高齢消費者の被害を防止するための取組

西村日加留:
高齢者の消費者被害の特徴についてはわかりました。高齢消費者の被害を防止するためには、高齢者の消費者トラブルの相談が市町村の消費生活センターにしっかりと届けられ、適切に対応されることが必要であるが、府ではどのような取り組みを実施しているか、お伺いします。

坂田泰子 消費生活センター所長:
大阪府におきましては、高齢者や周囲で見守りをしていただいている方に、被害に遭いやすい消費者トラブルの事例や、府内の消費生活センターの相談窓口について知っていただきますため、毎年度、全戸配布される府政だよりの10月号に、高齢者の消費者被害の未然防止に向けた特集記事を掲載しておりますほか、大阪府が養成いたしましたボランティアによる出前形式の啓発講座の実施を行うなどに取り組んでおります。

また、市町村におきまして、地元の消費生活センターや福祉担当部局、医療機関、地域包括支援センター、警察署などが連携したネットワークを構築し、地域の身近なところで高齢者などを見守る消費者安全確保地域協議会という高齢者等の見守りネットワークの設置を進めているところでございます。

大阪府といたしましても、この市町村における取り組みを支援いたしますため、市町村職員を対象とした研修会を毎年開催し、先進自治体の事例紹介や、福祉等関係機関との連携の必要性などについて御説明をしておりますが、現時点で設置されておりますのは九市にとどまっているところでございます。

高齢消費者の被害防止の次期計画について

西村日加留:
さまざまな取り組みを進めていただいているようだが、高齢者の見守りネットワークの設置は九市と少なく、府内の高齢者を消費者被害から守る体制としてはまだまだ十分ではないと感じる。
高齢者自身が被害に遭ったことに気づいてない中で、家族が被害に巻き込まれることもあり、高齢者だけでなく家族にとっても不幸になるなど、高齢者の消費者被害は深刻な問題をはらんでいると思う。
大阪府における消費者施策を総合的、計画的に推進するための基本計画として府消費者保護条例に基づき策定した消費者基本計画が今年度末で目標年次を迎える。

現在、次期計画を策定中と聞いているが、高齢消費者の被害防止の取り組みは重要であり、次期計画において明確に位置づけ、しっかりと取り組むことが必要と考えるが、見解を伺います。

坂田泰子 消費生活センター所長:
ただいま委員が御指摘のように、今後さらに高齢化が進展いたします中で、高齢消費者の被害の防止の取り組みは最重要課題と認識しております。
次期計画についての大阪府消費者保護審議会からの答申におきましても、府内全ての市町村における消費者安全確保地域協議会という高齢者などの見守りネットワークの設置が重点取り組み項目として位置づけられたところでございます。

大阪府といたしましては、この答申を踏まえまして、警察とのさらなる連携や、弁護士等の専門家との連携による府全域での見守りネットワークの構築に向けた環境整備、市町村との情報交換機会の設定など、広域的な府の取り組みを次期計画に盛り込みまして、高齢者の消費者被害防止に向けた施策をさらに推進してまいります。

非常に重要な施策。府が主体となり継続的に進めてほしい。

西村日加留:
高齢者の消費者被害の防止は、非常に重要な施策であり、今年度末をめどに策定される大阪府消費者基本計画において、重要取り組みとしてしっかりと位置づけ、継続的に府が主体となり取り組んでいただきたい。
また、計画が絵に描いた餅にならないよう、消費生活相談体制の充実や、施策を効果的に実行するための財源確保に努めていただくことを要望させていただきます。

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