環境農林水産常任委員会 質疑(6)

令和4年3月14日

日本の食文化と採卵鶏の殺処分について

西村日加留:
日本では、古くから食べ物に感謝する食文化があり、いただきますという言葉には、食べ物への感謝と同時に生き物への命をいただくという意味も含まれています。

さて、現在、鶏の卵は価格の優等生と言われ、十個入りのパックで二百円前後で売られています。鳥肉自体が安くて、百グラムぐらいで百円前後で手に入る中ではありますが、鳥だけではなく、牛肉や豚肉も食べたいときに食べたい量を食べられる、また二千円や三千円ほどで食べ放題のバイキングもある世の中です。しかし、一昔前までは卵や肉は貴重品、戦前は卵一つの価格がそば一杯程度だったと聞きます。現在の価格でいえば一個の卵が三百円以上ということなのかなと思います。また、病人のお見舞いには生卵を何個か包んで持参するということも聞いたこともあります。

命の価格がなぜこんなに安くなったのか。一言で言えば、効率が追求され、生産性が上がったから。卵や肉だけじゃなくて、百円ショップのように物があふれる今です。生産性が追求され、作るコストが下がった商品。しかし、その生産過程で環境や労働者の人権等に悪影響を与えることがでてきました。
そこで、人や地域環境、社会に配慮して消費する、いわゆるエシカル消費という考え方が注目されています。消費者である私たちは、このような課題に向き合っていかなくてはならないと思います。

そのような中、畜産に目を向けると、ふだん私たちが食べている卵を産む鶏は、当然雌であり、また生まれてくるのは当然半分が雄、半分が雌です。卵を産むことができるのは雌であり、雄は処分されると聞いております。
そこで、まず府内にある鶏のひなを生産するふ化場の状況について、動物愛護畜産課長にお伺いします。

村山裕紀 動物愛護畜産課長:
現在、府内には、毎月約五千羽の鶏のひなを生産しているふ化場が一件あり、鶏の雄雌が生まれる確率はほぼ同率であるため、約二千五百羽の雄のひなが生まれております。このふ化場では、肉用の鶏については雄も出荷していますが、採卵鶏の雄は、全国のふ化場と同様に、猛禽類、爬虫類などの餌や、化製場でペットフード用の原料として利活用されると聞いております。

西村日加留:
府内の状況について、殺処分の後の状況は分かりました。かつて高級品だった卵がなぜこんなに安くなったのか。一言で言えば、生産者の効率化追求の努力の結果です。飼育される鶏の原種が年間に産む卵の量は三十個程度だと聞いていますが、それが品種改良され、現在では三百個ほど産む。多分、私はまだそこまで知らないですが、卵を産めば、すぐ取ればまた卵を産む。卵が残っていれば、親鳥はその卵を温めて鶏になるということだと思いますが、品種改良されて年間毎日のように卵を産む計算になっております。

最近、ビーガンと呼ばれる菜食主義として動物性の食品を一切口にしない方、また、殺処分、こうした状況は直ちに解消できないので、食べる量を減らすという選択、月曜日にお肉を食べるのをやめましょうという運動もあると聞いております。また、動物の消費は可としながら、その苦しみをなるべく減らしていこうという考え方のアニマルウェルフェア。しかし、それでも生まれてくるひよこの殺処分問題は解決しません。

そこで、近年、ドイツやフランスでは、ふ化前の卵にレーザーを照射し、雄雌を判別する技術が実用化され、養鶏業界で行われている雄ひなの大量殺処分を禁止する動きが目立っています。そこで、いただきますの文化を持つ日本は、ドイツやフランスなど諸外国に遅れることなく、さらに言えば先んじて取り組むべきだと私は思っております。そういった観点で、府内の養鶏農家に対して同様の取組がなされるよう働きかけるべきと考えておりますが、動物愛護畜産課長にお伺いします。

村山裕紀 動物愛護畜産課長:
現在、日本においても、卵の段階での雄雌の判別について研究が進められるとともに、採卵鶏の雄であっても、ひなの段階での処分が不要となるよう、肉用として活用できる、いわゆる卵肉兼用種の鶏が国内で生産されているところです。このような最新技術や鶏の種類に関する取組について、府内のふ化業者や養鶏農家に対し、情報提供を図るとともに、引き続き適切な飼養管理の指導に努めてまいります。

西村日加留:
この質問に当たり、そもそも大阪に養鶏農家が少ないのは分かっておりました。しかしながら、なぜ質問したかといいますと、日本全体でこういう取組がまだまだ少ないと思っておるからです。犬や猫などのペットに対する動物愛護の機運は年々上昇していると感じます。捨て犬、捨て猫の殺処分が問題にもなっております。しかし、毎日の食卓に上がる鶏や豚、牛といった家畜動物への消費者の関心はまだそれほど高くないと感じます。

家畜は、農産動物あるいは経済動物とも言われ、人間の経済的利益のために飼育、殺処分される。しかし、家畜も動物愛護管理法の対象で、むやみに殺したり虐待することは違法とあり、命の尊厳に配慮した飼育、殺処分が求められています。
二〇二五年「いのち輝く未来社会」がテーマの万博であります。この点においても、現状、大阪では農家が少ないとはいえ、ぜひ、「いのち輝く未来社会」がテーマというならば、こういうことも遅れることなく大阪が率先して研究していくべきと思っております。まずは、府内の家畜農家に対してしっかり働きかけと同時に、このエシカル消費の考え方を伝えていただきますようお願いします。ぜひ万博までにエシカル消費の原点への研究に挑戦していただきますよう、勝手にお願いしておきます。

それから、海外は進んだ面がありますので、すごい大阪の武器にもなるのかなと思っております。
ただ、聞くところによると、その研究所というか、研究の箇所がなくなったそうなので、それが問題かなとは思います。
いろいろ問題はありますが、よろしくお願いします。

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