令和元年12月13日
世界遺産への理解を深めるための取り組みについて
西村日加留:
最後に、世界遺産への理解を深めるための取り組みについてお伺いします。
本年7月、世界遺産に登録されたいわゆる百舌鳥・古市古墳群は、天皇家の祖先のお墓である陵墓が半数以上を占めています。登録以降、訪れる来訪者が少しふえているように感じますが、私は、かねてより仁徳天皇陵を初めとする陵墓の壮大さ、偉大さが十分に伝わってないのではないかと感じるところです。
例えば、第16代仁徳天皇は、現在の堺市に陵墓が存在しますが、生前に居住し政治をとった場所は、難波高津宮と伝えられています。高津宮は、現在の大阪市中央区にあったと考えられ、府立高津高校の敷地内には石碑が建てられています。また、難波宮跡に隣接する法円坂遺跡の発掘調査では、約1600年以上前に形成されたとされる極めて大型の建物跡が発見されており、この時代の王権の中枢に関連する施設があったと考えられます。
仁徳天皇は、民家のかまどから炊事の煙が立ち上がっていないのに気づき、民は皆貧しい、3年間租税と労役を免除せよと命じられたという古事記の逸話「民のかまどはにぎわいにけり」でよく知られていますが、先ほど紹介した遺跡等の場所から考えますと、この逸話は、現在の大阪市内、ここ府庁周辺が舞台となったとも推測されます。
このような見方をすると、陵墓、古墳は、所在地である堺市、羽曳野市、藤井寺市に限ったものではないということがわかるのですが、残念ながらこういった話は余り知られてないように思います。陵墓の形や大きさばかりを取り上げるのではなく、当時の日本列島を統治した国の中枢が、都が実はここ大阪にあったという時代背景や歴代天皇にまつわる逸話等とあわせて伝えることが、大阪の魅力にもつながりますし、教育にもいいのではないかと考えます。
いわゆる百舌鳥・古市古墳群の歴史観や逸話などについて知ってもらう取り組みを進めるべきと考えますが、この点について府民文化部長にお伺いします。
岡本圭司 府民文化部長:
百舌鳥・古市古墳群が持つ歴史的な価値への理解を深めていただくことは、世界遺産として次世代に引き継いでいくために重要であると認識しています。そのため、百舌鳥・古市古墳群が、時の王権の権力構造を示し、日本列島の歴史を物語る重要なあかしであることを理解いただくとともに、古墳にまつわるさまざまな言い伝えや歴史などを伝えるための取り組みを進めているところです。
具体的には、府は、地元市とともに、ホームページによる紹介や博物館における展示などにより、築造時期や出土した副葬品、伝承などを踏まえた個別資産に関する説明を行うとともに、当時の暮らしぶりや東アジアとの関連性などについての情報を発信しているところです。
今後とも、我が国の古墳時代を代表する遺産として、多くの方々に百舌鳥・古市古墳群の歴史的な価値などについて、理解を深めていただけるよう取り組んでまいります。
西村日加留:
部長、ありがとうございました。
陵墓への観光客受け入れの体制整備が早急に必要
この機会に、第16代仁徳天皇に関するお話を少し紹介させていただきました。このような点をぜひ大阪府全体に発信していただきたいと考えます。
また、陵墓は、皇室の御先祖のお墓であることから、静安と尊厳が保たれるべきですが、この点については、来訪者等に十分に伝えられてないのが現状です。
モニターをごらんください。
こちらは、世界遺産登録後、7月7日に撮影されたものです。決してマナー違反の来訪者だけが悪いわけでありません。受け入れる体制が整っていないのが問題です。注意喚起するものが、一つもありません。
どうか一刻も早く適切な場所に看板等を設置していただき、神聖な場所であること、ルール、マナーをしっかりと伝えていただきたいです。私自身も、地元市会議員の先生方と相談してまいりますので、府としても地元市と連携していただき取り組んでいただきますよう強く要望いたします。
以上で、私の初めての一般質問を終わらせていただきます。誠意ある御答弁や御対応をいただきました理事者の皆様にお礼を申し上げます。
御清聴、ありがとうございました。